漫画村騒動について思うこと
お疲れ様です、詩吟くんです。
これから話すことについて、僕は考えてみることはしても一切賛同しません。
そこだけは念頭においてお読みください。
漫画村っていう無料でコミックスが読めるサイトが、
「有料版サービスを開始する」と発表しました。
「どこかの誰かがタダで宣伝してくれたおかげで利用者が倍増した」
みたいなこと書いててちょっと笑ってしまいました。
物作りの仕事をしている端くれなので、決して無関係ではないのですけれども。
それを見て、これは今すぐに考えないといけない事だって思ったので、この問題についてちょっと考えていきたいと思います。
そもそも漫画村ってなんで未だに許されているんでしょうか。
調べてみたところ、「ネットにアップされている画像を中継しているだけ」という触れ込みだそうです。違法なのは元画像を上げたやつだってことでしょうかね。
今回の件で僕が思ったのは、「データ社会における物作りの弱さ」です
"無料"被害は今に始まった話ではない
そもそもネットが普及したての頃から違法データの二次配布はありました。
TorrentファイルやマジコンR4。
僕が学生の頃大流行した、ゲームを無料で遊べるというツールやサイトです。
ソフトが無くてもデータがあればゲームが遊べると皆こぞって手を出していました。
この辺りは海外IPのサイトで配布されている(されていた)為、日本の法律が適用されず、摘発ができないという感じだったと記憶しています。
被害額は余裕で兆までいくってどこかで報道してた気がします。
またその後、不正利用はいけないっていう決まりができましたが、「知らなかった」といえば不問になるというなんともふにゃふにゃなものでした。
それから新しいゲーム機が出るたび、セキュリティはどんどん固くなっていき、以前のようにゲームやり放題とはいかなくなってきました。
じゃあこれでゲームの市場が大きくなるかって言われたら、そんなことありませんでした。
無料利用がもたらしたお金以上の被害
人間が強くストレスを感じることってなんだと思いますか?内ひとつは
「わけもわからないまま束縛されて、持っているリソースを削られること」じゃないかと考えています。
商品をタダで使われたら困るというのは売る側の話です。
利用者からみれば「今まで無料だったものに何千円も払わなければいけなくなった」
くらいでしかありません。不便になったってことです。何言ってんの極まりないですけども。
無料配布がもたらした最大の被害というのは、
コンテンツは無料で当たり前という意識を多くの人に植え付けたことです。
タダじゃないなら別にいらないやって思うようになっちゃったんですね。
今はYoutubeで動画、Pixivで絵や漫画、AVならXvideosなどなど、無料でいくらでも時間をつぶせるコンテンツがあります(Xvideosは日本の法ではさばけないというだけで余裕でアウトなので前の二つとは全然違いますが)。
その無料コンテンツでさえ、人気なものの中にはプロ顔負けのクオリティを誇る物もたくさんあります。
コンテンツがいくら増えても一日は24時間ですから、それだけで供給が足りちゃうっていうのもひとつあると思います。
無料提供側のもう一つの強さ
他社の商品を盗用しておいしい思いをする違法配布サイトやグレーサイトですが、ちょっと気になって試しに漫画村のサイトを少しいじってみたんですよ。
念のため言っておきますが、実際に漫画を読んだわけではありません。ただ検索とかしてみただけです。
そこで思ったのが、はっきり言ってめちゃくちゃ快適で便利でした。
検索すれば一発で見たいものが雑誌の何週号というのまでずらっと出てきました。
またランキング機能でどんなものが人気なのかも一目でわかりますし、それらが見やすいようレイアウトも工夫されています。
特にランキング機能に関しては、他の版権持ちの出版社とは違って権利もへったくれもないので、全ての漫画から総合できます。
皮肉にも権利を無視しているからこそ、あらゆる束縛から抜け出して快適すぎるサービスを提供する土台が整い、それを実現するリソースを割く余裕まで生まれているのです。当然です、それだけ考えればいいんですから。
こんなの強みどころの話ではないです、核兵器レベルですよ。
それに対して版権持ちの対応・対策は「穀さないでくれ、頼む」と訴えるだけでした。
正直勝てるわけがないと思います。
ひと昔前、物作りとして焼き物や美しい布、絵画などが多く流通していました。それらの贋作も出回りましたが、コピーするのにも技術が必要でした。
データ社会になった今、商品価値のあるものはデータが主流になり、マウスを数回クリックすれば誰でもコピーできるようになってしまいました。
しかも厄介なことに、それらは物そのものというより情報価値に近いので(本そのものより、中に書かれている文章に価値があるという意味)、見たり聞いたりできればそれでいい、という点で弱いのかなって気がします。
漫画村のようなサイトのみならず、Amazonプライムとか他の音楽サービスなどの大手の会社が定額見放題などのサービスを続々と発表して普及しつつある現状、普通に物を作って売るという従来の売り方じゃもうやっていけないと思います。
これは出版や映像、音楽など業界全般で考えていかなきゃならない今最も大きな問題なのではないでしょうか。AVも例外ではありません。
とりあえず漫画村に関しては摘発の準備が進んでいるとのことなので、早く捕まってくれればいいと思います。にんじん。